弥十郎さんのインタビューは今月末に次回を予定してます。今回はちょっと脱線して「歌舞伎鑑賞教室」について。オススメの公演があります。(2003.5.5) |
【特集】歌舞伎鑑賞教室ってどんな教室? 国立劇場で毎年実施している歌舞伎鑑賞教室。学生時代、学校行事として連れて行かれた人も多いのでは。何観たか覚えてます? 誰が出てた? 『お姫さまが出てきた』とか『大勢が何か言ってた』って殆ど記憶に残ってない人が大半なんじゃないかな。正直言って行事として鑑賞しに行ったものを楽しいこととして記憶に留めておくのは難しい。ド派手なパフォーマンスがあったとか某大河ドラマで見たことがある話だった、とか。何でもいいから目立つ舞台だったらまだしも、かつての鑑賞教室は地味でお硬い演目が多かったのだもの尚更だ。 学校団体向けに料金設定が低い、ということでコストを抑えた作品をやらざるをえない。つまりセットも衣装も通常公演並の派手派手には出来ないのである。そして中学生への教育的配慮もした演目選びとなると、一目で楽しいと思ってもらえないのも不思議はない。しかも自発的な観劇なら準備も楽しけれど、授業で下調べさせられたりして、行く前から面白いとは思えない刷り込みが出来上がってるんだもの。連れて行かれて客席で過ごす数時間は早く終わるのを願いつつただ堪えることになる。 そんなこんなで体験している人が多い割に印象の薄い鑑賞教室だけど、いざ自分から「歌舞伎を観てみたい」気になった時には実にありがたい存在だ。
この数年は演目もお堅い一方ではなく観て楽しいものも増えているし、昨年は「歌舞伎のみかた」を映画『ピンポン』に出演した中村獅童さんが担当し、解説でカーテンコールという珍しい事態もあった。 今年も鑑賞教室は6、7月に国立劇場にて実施される。 6月の『与話情浮名横櫛』(よわなさけうきなのよこぐし)は話自体を知らずとも「いやさお富、久しぶりだなぁ」という一度は耳にしたことがあるだろう有名な台詞が出てくる芝居だ。現代語に近い言葉で会話が進む世話物(*1)なので聴き取るのもさして苦労はないだろう。更に今回はお富と与三郎が出会うところから芝居が始まる(*2)のでかなりストーリーを理解しやすいはずだ。午前の部は13時頃終演だからマチネ観劇前に立ち寄ることも可能かも。学生に混ざっての観劇というのもちょっと変わった体験だろう。 6月歌舞伎鑑賞教室の一般発売は5月6日(火)電話予約開始。詳細は国立劇場のサイトで。
*1 世話物(せわもの) |
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